2022年 勝手に私的宝塚大賞発表!その2
余計なお世話で、2022年の宝塚を振り返る勝手な企画第2弾!
さあ、どんどん参りましょう。
2022年珍プレー好プレー衝撃作品大賞!!…『夢介千両みやげ』
大江戸スクランブル
『夢介千両みやげ』
原作/山手 樹一郎「夢介千両みやげ」
脚本・演出/石田 昌也
ショー・スプレンディッド
『Sensational!』
作・演出/中村 一徳
突然、衝撃作品大賞の発表です。
あえてショーなし、『夢介千両みやげ』です!
先行画像やポスターが出たときから「これどんな明治座公演」と思っていましたが(しかも、その時のリアル明治座が、氷川きよしさんの「これベルばら?」という公演ポスターだったので、「ポスター逆逆!!」と💦)…。
いやしかし、実際観てみたら、ポスターを軽く超える衝撃ぶり。
小田原から江戸へ、千両を持って道楽修行に出てきたボンボン・夢介(彩風咲奈)。
遊び人の若旦那・総太郎(朝美絢)と親しくなり、スリのお銀(朝月希和)と恋仲になるが、江戸の人々はいろーんな揉め事を抱えていて…!? というなんてことないストーリーですが、いやはやすごい。
個性豊かな江戸の人々が巻き起こす騒動を、夢介は“金と優しさ”で解決して行く
と書いてあったけど、本当に金ばらまくばらまく。
観ながら思っていたこともあさっての方向から飛んでくる。
「まああーさは顔がいいから、こういうのも似合うな」→♪なんせこの顔、この器量♪と歌われる。
「そらぴ(和希そら)、いろいろ悩みを抱えたスリの少年って、『オーシャンズ11』と一緒じゃん」→全然違う。
「綾凰華ちゃん、退団なのに"悪七"って…」→吹っ切れて振り切れる。
「あがちん(縣千)、遊び人の金さんてまさか」→そのまさかの遠山の金さん。
「手品…この芸人さんたちの曲は…」→お察しの通り「オリーブの首飾り」。
もうまさに、♪あっぱれあっぱれあっぱれ夢介!!
こんなにナマる主人公(小田原ってそんなにナマってませんが…)と、こんなに都合のいいストーリーは、『ザッツ・レビュー』(1997年・花組)以来かと思ったけど、ザッツ以上にメーター振り切ってるぜ、夢介。
私が観劇した日は、コロナ関連で休止明け、期せずして初日になってしまったのですが…この前来たのは、『ネバセイ』の楽前日…。たった2週間弱で、こんなに違う!?
同じ劇場、同じ時刻(1幕終了)に、かたやスペインの戦争、圧が強すぎる感動のコーラス「ONE HEART」、かたや千両をばらまき、「よよよい!よよよい!あっぱれ夢介!」
おら、白昼夢介を見てるんだべか…宝塚ってすんげぇなと思ったべ…。
初日挨拶では、雪組恒例のかけ声「どっせい!」もあり、人生初の宝塚に夢介を観てしまった、学校行事で来ていた女子高生たちも、夢介を見ているかのように「どっせい!」とこぶしを振り上げていました。
わざわざこの原作を持ってきたダーイシ先生……恐ろしい子!!(白目)
あっ、ショーはね、楽しかったですよ!
そらちゃんがすごく頑張っていたし…。
でもね、夢介の威力で、ショーの記憶、すごく薄いの…。『Sensational!』より、夢介がセンセーショナルだったのよう。
いやしかし、この後発表された、そらぴの別箱『心中・恋の大和路』……いや、もう演者も客も全員が「夢介に借りたら解決するのに!!」と思ったことでしょう。
もうなんなら『ネバセイ』も『ギャツビー』も、夢介いたら、悲劇は起こらず、解決したかもしれない。
なんせこの顔♪ではなく、なんせ、いまだかつて宝塚で、「金で全てを解決する、気は優しくて力持ち金持ち」なヒーローがいただか? いや、いねえ!
友たちとの会話で、いまだに「夢介」がよく使われるほど、夢介について熱く語ったこの公演に、勝手に衝撃作品大賞を差し上げるべ!
夢と現実賞…『めぐり会いは再び/Gran Cantante』
ミュージカル・エトワール
『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』
作・演出/小柳 奈穂子
レビュー・エスパーニャ
『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』
作・演出/藤井 大介
ムラでは108期生の初舞台でしたが、やはりコロナ関係で半分くらい休止…😢。
実は、108期に高校時代の友人のお知り合いがおり、音楽学校に合格した時から応援していたので、とても残念でした。
が、星組に配属され、新公でなんとお役もついたりして! 本公演でも、どこにいるかをチェックするまでもなく、自然に目に入り、とっても有望なのではないかと思っています。
年末現在、2023年の初詣ポスターになることが決まり、ますます楽しみ!(シカシ、友人の知り合いという遠い関係で、ご本人には会ったこともないですし、こちらが勝手に有望視しているだけです)
で、本編ですが…
前2作も星組でやっており、同じルーチェという役を、本人・礼真琴・こっちゃんが演じるというのも夢がありますよね。この公演で退団の天寿光希さん、音波みのりさんも…。この頃からファンだった方には感無量でしょう。
ストーリーも、ユメユメしく、かわいらしく、アンジェリーク舞空瞳・なこちゃんもお人形さんのようにかわいらしい!
私は星組では、オンブル役の綺城ひか理・あかさんを観てしまうのですが、ロナン・極美 慎くんのお父さん役とは!! でもとてもシブくてカッコいいお父さんでした。
あと、双子のカストルとポルックス、稀惺かずと・末裔くんと詩ちづるちゃんは二人とも、初舞台からずーっとやっぱり華があって目を引きますね。
しつこいようですけど、戦争ものより、ちょっと小粋でユメユメしい方が好き!
ショーは、スペインがテーマの情熱的な展開で、『哀しみのコルドバ』や『バレンシアの熱い花』、「炎の妖精」(汀夏子さんの持ち歌!!)など、懐かしい歌も散りばめられ、お芝居に続き、美穂圭子さんはじめ歌ウマさんの歌を聴きつつ、熱いダンスも堪能。
瀬央ゆりあ・せおっちの『NINJIN娘』(トシちゃん・田原俊彦さんの曲ね)、闘牛に目が行きましたが…
パレード、ウワサの片翼の羽根に目がクギヅケ! 天使なの!? 片翼だけの天使または翼の折れたエンジェルなの?(古)
え、え、前代未聞ですよね、この羽根…。
…いやーー、そこまでするかぁ…。ちっちゃくてもいいから両翼、背負わせられなかったか…。
お芝居もショーも、ユメユメしく、宝塚っぽい作品だと思ったけど、最後の最後がいちばんある意味、現実的で宝塚っぽかったとは…。(絶句)
みんな心身健やかでいてほしいで賞…『巡礼の年/Fashionable Empire』
ミュージカル
『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』
作・演出/生田 大和
ショー グルーヴ
『Fashionable Empire』
作・演出/稲葉 太地
もーね、しかたないんですけどね…。
東京公演、私は4回取ってたんですけど、全部中止になっちゃったんですよ…😢
ムラ楽配信と東京楽配信は観ました。
千両さえあればなあ…(違!!)。
柚香光・れいちゃんのリストは、自由ででも脆くて、天才的だけど危なっかしくて、れいちゃんそのもの(※イメージ)って感じだし、ピアノは超絶技巧だし、星風まどかちゃんとウフフキャッキャッするところは、「おいおい、もう『うたかたの恋』かよ!?」ってツッコミ入れたくなったし、水美舞斗・マイティショパンと永久輝せあ・ひとこサンドの関係もグッときたし…。
ショーおしゃ帝は、特にラビリンスの風呂(本当かどうかわからないが、友談)…。
なんかもう肌に近い色の衣装で、れいまいが二人でぐるぐるぐるぐる回って、なんなん、もう。回りすぎて二人でバターにでもなるつもり!? けしからんシーンだな、まったく。(ニヤニヤ(〃艸〃))
何か、でも、この頃、イロイロあることないことネットやらなんやらに書かれていましたが…。
コロナ禍で大変な中、花組は勿論、他組も皆さん、よりよい舞台を、たとえ一度でもいいから、観客に観てもらいたい!!っていう一心で作り上げてると思うのですよね。
退団者もいるわけですし、自分も仲間もみんなで舞台に立ちたい!と。
コロナ禍になってから、中止になった悔しさ、辛さ、一度でもできた喜びが、千秋楽に涙となる方も多いです。
そんなジェンヌさんの気持ちを考えると、この状況の中、ジェンヌもスタッフも自分も元気で、一度でも見られたら奇跡だなって。
やはり私は、宝塚に夢と希望と元気をもらっていると感じるので、奇跡はホントにありがたいです。
そんな奇跡をめざしてる現状で、あることないこと舞台と関係ないことでファンが大騒ぎするのは悲しいなー。
コロナの話でいうと、もういまや、演者含め関係者がコロナになっちゃうのはしかたないです。
でも「じゃあ代役で上演すればいい」とかは、個人的にはちょっと違うかなあ…。
(勿論、ケガとかほかの病気で休んで代役はしょうがないことですが)
誰か1名から、劇場中に蔓延するかもしれない。逆もまたしかり、お客さんからスタッフにうつしてしまうことだって。それに、コロナがどういう後遺症があるかも定かではない現在、しっかり治るまで憂いなく休んでほしい、という気持ちもあります。
宝塚歌劇団が顧客満足度指数で1位になるのは、お客さんのことを第一に考えている+商品=生徒のことも第一に考えているからからでは、と思います。
顧客満足が高い企業、1位は「宝塚歌劇団」 10年以上業種別で1位を取り続けている企業は?:エンタメ・ホテルが多数 - ITmedia ビジネスオンライン
この公演も、生では観られなかったけど、配信で二度見れて、そこはありがたかったな。
それと、飛龍つかさくん、音くり寿ちゃんたち退団者のためにも、一日だけでも上演したい!という花組と歌劇団の気迫も感じられました。
リストのような(※あくまでイメージ)れいちゃん、そして花組の皆さん、どうかどうか、過剰な責務や罪悪感を感じすぎることなく、自分を責めすぎることなく、身も心も健やかでいてほしい。
これからも、自由でのびのびとした舞台を観たいです。
綺麗なおバカさん賞…『グレート・ギャツビー』
三井住友VISAカード ミュージカル
『グレート・ギャツビー』
-F・スコット・フィッツジェラルド作“The Great Gatsby”より-
脚本・演出/小池 修一郎
これは、私、杜けあき・カリンチョさん主演の1991年初演と、瀬奈じゅん・アサコ主演の2008年再演も観ているのですが、そういうお客さん結構いると思うので、「またもや、れーこ(月城かなと)さん再演か…比較されてちょっとかわいそう」と最初思ってしまいました。
なぜなら、初演『華麗なるギャツビー』は、別段当時の雪組のファンじゃなかった私ですら、今も心に残る名演だったんですよね。
芝居巧者だったカリンチョさんはもちろん、ジョージ・ウィルソン役・古代みず希さんの、疲れてしまって、全てが見えなくなった男の名演がとても心にしみました。
若くて健やかなニックの一路真輝さん、いかにもイヤな男・トムの海峡ひろきさん、まだまだ若手下級生だったのに貫禄のウルフシェイムをやりきった高嶺ふぶきさん、のちに大物になる感を出したビロクシーの轟悠さん…
そして、なにより…これが退団公演だった、デイジーの鮎ゆうき・アユちゃんが似合い過ぎていた!
繰り返しますが、それまで別にアユちゃんがいいと思ったことはなかったのですよ。
でも、好きとか嫌いとかを超越して、あのお芝居の中で、全てを手に入れたギャツビーがずっと追い求めていたデイジー、「綺麗なおバカさん」になりきらざるを得なかったデイジーが、そこにいたんです。
今でも、あのラストシーン、アユちゃんの美しすぎる横顔が忘れられません。
その後、フィッツジェラルドの原作本、アサコ再演、ロバート・レットフォードの映画、ディカプリオの映画も観たのですが、総合的に思い出すと、やっぱりアユちゃんの横顔が、全てを物語っていたなあ…と思ってしまっていました。
でも…『華麗なるギャツビー』(映画邦題でもある)から『グレート・ギャツビー』にタイトル変更になった理由として、イケコ先生は
「愚かな生き方をした偉大な男」
という意味もこめられていた、と何かで読みました。
そう、ギャツビーの生き方は、全然「華麗なる」でもなく「グレート」でもなく、ホントに愚か。おバカさん。たった一人の女のために、子供の頃から努力して勉強して、築いてきた人生を棒に振っちゃう…。
イケコ先生はじめ、男性諸氏は特に「自分にはできない愚かさ」にロマンを感じちゃうのかもしれないですね。フィッツジェラルドものって、大体そんな感じ。
そう考えると「綺麗なおバカさん」てむしろ、ギャツビーのことか!?
それなら、れーこさんはぴったりだ!
若き日の美しいギャツビーの輝く瞳、シャツを投げるシーンの楽しそうな、でも暗い瞳、全てを投げうって刺されていくギャツビーが取り戻す輝く瞳。
そのあたり、とても美しいれーこさんが、目の演技で演じられていました。
まぁ…綺麗なオバカさんに「♪なるわ、なってみせるわー♪」の曲は、新曲のようですが、ちょっといただけなかったかなあ…。
(大体、イケコ先生の歌詞は、オブラートなく直截的すぎるので…)
性格よろしくない色男トム(鳳月杏)、真面目な人がキレると怖いウィルソン(光月るう)、貫禄いっぱい、歯をキーホルダーにするウルフシェイム(輝月ゆうま)、本当はきっと誰より若く、誰よりゴルフがうまいであろうに包み隠す?ニック(風間柚乃)と、さまざまな男たちも魅力的。
やっと上半期終わった…。
さらにスピードアップして、また次回。(まだやるんかい)