『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』(原作・著作・構想/HI-AX 脚本・演出/野口 幸作)
の公演感想を独断と偏見を交えて書きます。
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』とは
皆様、もうご存じだとは思いますが…
LDHによるドラマ・映画作品『HiGH&LOW』シリーズを、宝塚の演出家・野口先生が大胆に脚本演出でアレンジ。さすが、さまざまな野口先生です。
私は、宝塚に原作があるときは、書籍や映画の場合、事前に予習をしてから観劇することが多いのですが…
これだけ前評判があったハイローは、下記YouTubeしか見ていませんでした。
でも、これを見なくても、LDHハイローを見なくても、宝塚は宝塚で完結しています。
もう東京公演も残り少ないですが、原作は予習しなくても大丈夫!
(予習しておけば、世界観はもっとわかるでしょう)
まあ、宝塚用語でいえば、愛すべき「トンチキ」です(笑)。
なにせ、フランス革命やら宮廷やらパリやら、万葉やら、平安時代やら、
そういったきらびやかなものに慣れているヅカファンとしては、
「ほぼ暴走族!? 拳で喧嘩!? てめえら!?」と
オロオロすること間違いなしです。
しかし! そこはさすがの野口先生。
設定は足立区だか横浜・川崎だかわからないSWORD地区ですが、
やっぱり舞台には「美」があふれているんです。
ほのかな恋心。
男同士の絆。
生と死。大切にしたいもの。
金髪もカラーリングも、革ジャンも何もかも似合ってしまう人々。
宝塚に求める「美」も「夢」も、トンチキの中にあります。
ハイロー初心者も安心してください。
真風涼帆:コブラ
先日、退団発表があったゆりかさん。 最近はあまりムラ遠征もしていないのですが、予感があったため、これは大劇場にも行きました。
最初は、上述の通りハイローの世界観も知らなかったので、戸惑いました。
ゆりかさんといえば、フランツ・ヨーゼフ、ルイ14世、カイル皇子など皇族出身(笑)。
それが、山王連合会総長とはいえ、「二代目喧嘩屋」として「てめえらブッ殺されてえのか」など、ヤンキー言葉をお使いになる。 歌もラップ調。
正直、最初はヤンキー言葉と歌が似合っているとは思えませんでした。
でも…真っすぐ。一生懸命。仲間と彼女を守る、頼りになる男。
いつのまにか、コブラの真風涼帆のとりこです。
今までの持ち味・「大人」でも「セクシー」でも「エレガント」でもないけど、
退団間際にして、真っすぐで純真なコブラになりきるゆりかさんに、もっともっと好感が持てます。
潤花:カナ
宝塚オリジナルキャラであるカナ。
私は、正直いうと、前相手役・星風まどかちゃんとのコンビが好きだったこともあり、
前作まで潤花ちゃんの役って
「ニンに合っていないのでは」とも思っていました。
しかし、今回のカナ…いいです!
天真爛漫だけど、実は重いものを背負っているとか
イマドキ風に、コブラを「キミ」と呼ぶとか
なにより、カワイイ!
すでに話題になっていますが、ラストのびっくり登場も合ってます。
そして歌も、朗々と歌い上げる作品でないためか、
今までのトップ娘役作品で一番よいかも。
ゆりかさんと同時退団とのこと、本当にカナでよかったなと思います。
芹香斗亜:ROCKY
誘惑の白き悪魔・White RascalsのリーダーROCKY。
白スーツにゼブラ柄シャツ、ピンクのサングラス、ステッキに赤手袋に手錠。
かなりイカレタ野郎…いや、紳士です。
自分の複雑な生い立ちから、女性を守ると決めている信念の人。
こういうちょっとイカレたサイコパスは、キキちゃん、本当にうまい!!
『アナスタシア』『シャーロック・ホームズ』でも、 信念が行きすぎちゃってる人をうまく演じていました。
ときどき「平等とは…多様な…立場が」と、全然心に入ってこない名セリフをぶち上げます。
(ほめてます。「ちょっと何言ってるかわかんない」のが、ROCKYさんの雰囲気なのだと思う)
トップになったら、サイコパス役は回ってこないと思いますが、
縦横無尽にやれる演技と、コミカルな才能は、きっと今後も武器になると信じています。
桜木みなと:スモーキー
無名街を仕切るRUDE BOYSのリーダー。
プロローグ以降、だいぶん出てこないのですが、 ずんちゃんお得意の(?)こじらせボーイを、うまく演じています。
いわゆる「厨弐病」的な男子が好きな人には、ハマるのではないでしょうか。
ずんちゃんも今まで、こじらせボーイが多かったですが、
きっとこれからは、『アナスタシア』『シャーロック・ホームズ』で見せたような、トップを支える役が多くなると思います。
スモーキー自身が病気を患い、何かを抱えてるせいなのか、
「誰よりも高く飛ぶ」のはルードのタケシ(秋音 光)とピー(優希しおん)にお任せしています(笑)。
この二人、乱闘のときにアクロバティックなダンスもしているので、お見逃しなく!
日向紀久:瑠風 輝 村山良樹:鷹翔千空
達磨一家のリーダー・日向と、鬼邪高校番長・村山。
どちらも、ポスターにも抜擢。
身体能力を生かしつつ、リーダーとして君臨し、存在感を出しています。
特にもえこ瑠風さんは、今までそのスタイルからも目立っている存在ではありましたが、
やはり、トップ・二番手・三番手と拮抗する役でもあるので、ボス感が前より出てきてます。
苦邪組の人々
宝塚オリジナルの敵対チーム・苦邪組(クジャク) 。
リーダーのリン(留依蒔世さん)はじめ、ツワモノぞろいです。
松風 輝さん・インテリヤクザ風でコワイ
小春乃さよさん・昔の詩乃優花さんのようで、かわいくてコワイ
澄風なぎさん・あるある感満載ヤンキー
真白悠希さん・未成年役だが美青年役かと思うほどかっこよし
そして、今、バズりにバズっている、 メイナンツー役・泉堂 成さん!
ツンデレのメイド(御小姓と呼んでいます…)ですが、 登場シーンは、オペラグラスポイントになっているほど。
達磨一家、鬼邪高校、RUDE BOYSにも、バイト(その他大勢)で、得意のダンスをしているので、ぜひチェックを。
その他の人々&細かいネタ
山王連合会傘下の暴走族レディース、苺美瑠狂(イチゴミルク)。
宝塚の娘役といえば、輪っかのドレス、お姫様…と思っている方は多いと思いますが、
宝塚史上初、ピンクの特攻服でドスのきいたセリフの娘役です。
純子:天彩峰里ちゃんをはじめ、一途なところがかわいたくましい!
皆さんチャレンジ精神ですごく頑張ってます。
その他、各チームの側近たち…
山王連合会 ヤマト:紫藤りゅう
ダン:若翔りつ
テッツ:亜音有星
しどりゅーは、ゆりかさんと同じく、そこはかとなく漂うロイヤル感がステキ。
歌うま目力強いりっつと、オーラのすごいあのんくんもめちゃ目立ってます。
White Rascals KOO:風色日向
とてもきれいなお顔立ちなのですが、「私を見て」感が少ない気がします。今回の役にはよいかもです。
RUDE BOYS…上記のあきもとキヨがMyおすすめです!
細かいネタ…
山王連合会の溜まり場・床屋ピューマ。
上手側の本棚に並んでいるコミックス…
『花より男子』
『ポーの一族』
『るろうに剣心』
『BLACK JACK』
『JIN』
『シティハンター』
『ベルサイユのばら』
…そう、宝塚で上演された漫画ばかりなのです!
でも、『鉄腕アトム』のかわりに
『天は赤い河のほとり』を入れてほしかった…と思うのは、私だけでしょうか!?
ちまみにここには「スミレ女性」という女性週刊誌も置いてあります。
中身も読んでみたい!
[rakuten:joshin-cddvd:10984980:detail]
いかがでしたでしょうか。
(各チーム名はチームカラーにしてみましたが、ごめんよWhite Rascals)
そろそろ、東京公演も大詰め。
大劇場公演時収録のDVD・ブルーレイも発売されましたので、
ぜひチェックしてみてください!