Rêve TAKARAZUKA REVUE 宝塚ブログ・タカラヅカの夢 

初演ベルばら以来のファンが公演感想、OG、その他、宝塚を語ります!

月組『ブラックジャック 危険な賭け/FULL SWING!』再演という名の危険な賭け

寒くなってきましたね、皆様。しかしココロは熱く、雪組『蒼穹の昴』から間髪入れず、月組全国ツアー公演、独断と偏見と宝塚愛の混じった感想です。

 

ミュージカル・ロマン

ブラック・ジャック 危険な賭け』

─手塚治虫原作「ブラック・ジャック」より─
作・演出/正塚 晴彦

ジャズ・オマージュ

『FULL SWING!』

作・演出/三木 章雄

 

でももうこれは本当に、独断偏見以外に私情が入りまくること、お許しください。

なぜなら私は、1994年初演『ブラック・ジャック 危険な賭け』当時、花組トップ・二番手のヤンミキこと安寿ミラさん・真矢みきさん(当時ひらがな)が大っっっ好きで、特にミキさんが生活のすべてっていうくらいになっていまして💦

原作の手塚治虫先生も幼少時から大好きで、この初演にあわせてできた手塚治虫記念館にも何度も訪れ、ブラック・ジャックは文庫コミックスでそろえていました。

 

これはチャンピオンコミックス↑

 

先に初演のことを書いてしまいますが、もう少々おつきあいください。

初演『ブラック・ジャック』は、大劇場公演ではヤンさん主演、ロンドン公演のため東京宝塚劇場ではミキさん主演(ラスト3日間だけヤンさん)というスゴイことが行われていたんですよね。

ヤンさんだけ戻るんじゃないですよ、ロンドン公演参加者みんなですよ。

要するにトップ娘役・森奈みはるちゃんや組長・未沙のえるさんたちごくごく一部以外は総入れ替えです。

 

こんなこと今あったら、びっくりじゃないですか?

例えば『HiGH&LOW』で、コブラはムラではゆりかさん、東京ではキキちゃん、達磨の日向はムラではもえこちゃん、東京ではこってい、但し、最後の3日は戻ります…って。ないわー。NO,NICE WORK(ノー、ないわー)!

 

そして、今だから言えますが、初日前の舞台稽古の最中で、ミキさんは救急車で盲腸のため病院へ…。もちろん手術はしないで、翌日の初日を迎えました。

また、ラスト4日前も、翌日からヤンさんバージョンなのに、2回公演で、そのあとに23時まで舞台稽古!! 翌日11時公演!

(23時の出に黒髪だったミキさんが、翌日の9時の入りに金髪だったことは忘れられません…)

 

まあ、内容ももちろんのこと、東京公演なんてほぼ毎日通った、本当に私自身には

特別な公演だったんですよね。

 

初演BJは…

ヤンさんバージョン…クールな外見、シニカル、しかし実は誰よりも「生と死」に対して熱い心を持っている。懸命に生きようとした人を知っている、そして懸命に命を助けているからこそ、生きようとしない人がキライ。

もしかしてヤンさん自身もそうかもですが、BJしかり『ベルばら』のオスカルもしかり「一見氷のように冷ややかなくせに…胸の中はまるで炎のように燃えさかっている…」(byアンドレ)という感じなんですね。

ミキちゃんバージョン…実は漫画のBJ、見かけほどクールじゃなくて情熱的。そして冷たい人ではなく、人情家でもあります。ミキちゃんのBJは、漫画により近く情熱的で人情家。そこに(たぶん代役であることも含め)ものすごい緊張感と、「生と死」に対する緊迫感、生き物に対する愛おしさが加わっていました。

そこに、ヤンさんバージョンの場合は、二番手・ケイン(ミキちゃん)とのシーンに、なんともいえない空気感が生まれるんですよね。

特に銀橋での掛け合い、なげやりで厭世観を持つケインに、生きる意味を問うBJ。

ラスト、生きる意味と「♪苦しみでもかなしみでも、ひとは誰も生きていたい♪」ことがわかったケインと、それに安堵して(照れてか疲れてか)寝てしまうBJ。

もう、この空気感最高です。

なんだろう…「ヤンミキなら絶対安心」という安定感と、「こんなにギリギリまで舞台に命を賭けて、ヤンミキ大丈夫かな」という緊迫感、それが相乗効果で2倍3倍になって劇場を支配する…というすごさがありました。

まさに陰陽、太陽と月、氷と炎…(これがまた、ヤンさんが氷で…とかではなく、どっちも、どっちの要素も実は持っているんです)

 

ちょっとヤンミキ話長くなってすみません。

とにかく、初演ファンは、こーゆー気持ちで観ている人もいたということで。

 

 

だもんで、月組公演もぜひぜひぜひぜひ観たく、やっとチケット手に入れたのですが…

なななななんと、私自身が2日前の夜中に救急搬送!! 緊急入院!!トイレも行けない!! 市川なんて行けるわけがない!! マジで助けて、BJ先生!!😢

 

幸い、快復が早く、退院が配信に間に合い、それで拝見することができました。

(ちなみに…配信のあった、福岡市民会館、昨年の全く同時期に宙組全ツで行きました。その前に行ったのは、25年前、ヤンミキの『心の旅路/ファンシータッチ』でしたw)

 

 

さて配信で観ての感想です。(ショーのことも書きます)

 

ブラック・ジャック:月城かなと

さんざん上記にヤンミキBJのことを書きましたが…。れーこさんは、また2人と違ったBJでした。

顔の傷と、そこから色が変わっているメイク(これ、実は原作で、黒人とのハーフの少年の肌を移植したからなのです。BJは少年を忘れないよう、この肌の色をあえて残しています)、半分以上白髪になっている髪など、ヤンミキ時代より原作漫画に近づけたビジュアル。

ぶっきらぼう。達観。諦念。忘れかけていた過去の自分の思い。それでも、かわらぬ思い。

れーこさんのBJは、少し大人な、でも熱い思いを忘れてはいないようなBJだと思いました。

あ。れーこさんのせいではないですが、でも白いマフラーはいただけなかったかな。
BJって原作でも初演でも黒マフラーが多いと思います。

 

初演のことをさんざん書きましたが、れーこさんって、「過去ファンの亡霊が思い入れがありすぎる作品」が回ってくること多いような。

ダル・レークの恋』『川霧の橋』『グレート・ギャツビー』…

今夜、ロマンス劇場で』は映画でしたが、すぐに比較できるような対象があって。

そういう思い入れを受け入れつつ、自分なりの新しい役作りができるのがすごいなと思います。

できれば、れーこさんオリジナルの本公演が観たいけれど、彼女の真骨頂は、颯爽たる美貌とはちょっと違った、ぶっきらぼうで、なかなか自分の気持ちを伝えられない男…なのかもしれませんね。

私個人的には、れーこさんは、全然違うけれど、『るろうに剣心』の蒼紫と、『川霧の橋』の幸次郎が好きだったので、藤沢周平の江戸物とかいいかも…と思っております。

 

ショーでは、本公演と変わらず、まさに「」。

あの、でも、差し替えになった「マイ・ウェイ」は、私個人の世代的に、「ちょっとカンチガイしたオッサンが歌う歌」と認識しているので💦、変わってよかったな…と。

 

アイリス/如月 恵:海乃 美月

アイリスはケインの元恋人で、MI6に籍を置く中尉。

如月恵は回想の中に出てくる、BJの元恋人の医者。

どちらもとても自立した女性です。

 

これもね…すみません、初演時の森奈みはるちゃんが大好きだったので、アレなのですが…みはるちゃんは、ベビーフェイスでふんわかかわいいタイプだったのですが、セリフも歌も、声が鈴を転がすような声だったので、このような自立した女性もうまく演じていたと思います。

うみちゃんの二役、ちょっとみはるちゃんを意識しつつ、とても自立したしっかりした女性に見えたのですが。もしかして、ちょっとしっかりしすぎたかも。

特に、アイリスの鬘は、初演と同じく、とても直線的な横分けボブですが、コレ、丸顔でベビーフェイスのみはるちゃんが、大人っぽく見せようとした結果だと思うんですよ。

うみちゃんの場合、もともと美人顔なので「恋愛に興味のない仕事一筋のしっかり者」に見えてしまった。

如月恵も、回想ですが、若手である・ブラックジャックの影(一輝 翔琉)と絡むので、もう少し若くてもよいかなーと。

初演ビジュアルにこだわらず、自分の役作りでよかったかもしれませんね。

でも、叫ぶシーンがギャーギャー聞こえず、しっとりした女性だったのはさすがでした。

 

ショーでも、堂々たるトップ娘役ですが、こちらは、美人顔を活かして、ひっつめ系の髪型がよかったのでは?

 

ケイン:風間 柚乃

元MI6で、ある事件がきっかけで、頭に銃弾の破片が残っている(盲管銃創)。ブックメイカー(投資家)で、実はスパイのような動きもしている青年。盲管銃創により、「いつ死んでもいい、どうでもいい」という厭世観を持っているが、友人を助けるために、事件に深くかかわることとなる…。

 

なんか、もしかして、今回、BJとアイリスが初演より大人っぽいので、ケインも大人の設定なのでしょうか。

実年齢や見た目でいうと、初演のミキちゃんのほうが年上だと思うのですが、衣装などは今回のおだちんのほうが大人っぽくしてありました。

 

芝居巧者のおだちん、何かすごくストレスを抱えながら、自己解決してしまっているような、見た目通り大人なケインでした。

初演ミキちゃんは、何かすごく精神的にも子供っぽく、なんなら同期か後輩くらいのアイリスにも精神的に追いつけていないケインが、悩み苦しんで、ラストに生きる意味を知り、愛を知り、大人になる…という盛りだくさんケインだったように感じてました。

おだちんは、生きる意味も愛も、どうでもいいまま、すでに大人になっていて、最後に生きる意味を知った…という感じ。

 

ラスト近くの、BJとケインがベンチにいるシーンは、良い悪いでなく、これはほんと仕方ないのですが、ヤンミキの空気感とは全然違ったかも。

 

でもおだちんこそ、若手のころから代役が回ってくることが多く、また比較されることも多く、ストレスが多かったと思います。

「これぞおだちん!」というようなオリジナルの役が回ってきますこと、楽しみにしています。(私が今までで一番好きなおだちんは、『ピガール狂騒曲』のボリスです)

 

ジョイ:礼華 はる

爆上げ…といってよいのでしょう、ぱるくん。

ジョイは、ちょっとお調子者で、でも友達思いでもあるのですが、イマドキ風に難なく演じていました。

(初演は、愛華みれさん・タモと、匠ひびきさん・チャーリー。タモのお調子者感は毎回面白かったです)

 

ショーも、ありちゃん(暁千星)のシーンがぱるくんメインシーンになり、しかもヤンミキファンの心をくすぐる「ラ・コンパルサ」じゃないですか!!

 

正直、芝居もショーも、まだまだ粗削りなところがあり、本公演でも、ビジュアルはすごく目立つのに、あまり役作りしていないのかな?という部分があり…。

月組は、れーこさんはじめ、ちなちゃん(鳳月杏)、おだちんと、ビジュアルも芝居心も満点という男役さんがそろっているので、しっかり学んで、伸びていってほしいです。

気になった方々

ブラック・ジャックの影:一輝 翔琉……これまた爆上げと噂のわかさま。本公演では、ブラック・ジャックの影は、セリの上など、ちょっと離れたところにいるのですが、全ツだから、もう本当の影のようにすぐ後ろに。そりゃ目立つわ。

でも、なんでしょうね…。いくら影とはいえ、ちょっと無表情すぎやしませんか。(演出だったらスミマセン)

ブラックジャックのれーこさんが、さまざまな表情を作っているので、その心情を投影した感じにしてほしかった。特に、如月恵とのくだりは、通りすがりの人かと思うほどでした。

まだまだ研2だし、これからだと思うので、今後頑張ってほしいです!

ベリンダ:結愛 かれん……ダンサー好きの友人がこぞって推してるゆいちゃん。セクシーなダンスはもちろんですが、お芝居もうまいんだなと思いました。かわいい系なのにキリッとしていて、今回の役のお顔は、ちょっとダンちゃん(檀れい)を思い起こさせました。

ピノコ美海 そら……出番の割には、圧倒的なキャラクター性ですごくお得なピノコ。BJ先生が唯一、心からの笑顔を見せる相手でもあります。とてもかわいく演じていらっしゃいました。

 

正塚先生の演出

初演当時の宝塚は、まだまだ植田先生や柴田先生といった大ベテラン演出家両巨頭もいらして、正塚先生・小池先生が、新時代の両若手…という感じでした。

私は当時、正塚先生のレジスタンスなところというよりは、「生きる意味」を問う作風が好きでした。

皆、つらく、もがき苦しんでいても、ただ生きることに意味があるのだ、と。

命は、何にも代えがたい尊いものなのだと。

そんな正塚先生のメッセージが、『テンダーグリーン』の主題歌「心の翼」と、この『ブラック・ジャック 危険な賭け』にいちばん色濃く出ているのでは、と勝手に考えています。

 

初演とどうしても比較してしまったりしますし、原作もあまりにも有名で、今回の再演、本当に「危険な賭け」だったと思います。

でも、コロナ禍で、皆の気持ちが抑圧されていたり、命の尊さを考え直したりしている今、この作品をやることで、命の意味をもう一度思うことが大切かもですね。

危険な賭け、成功だったと私は思います。

 

(二人だけの戦場も危険な賭けなような…ごにょごにょ)

 

www.tca-pictures.net

初演BJが観たい方は、ときどきやるので、スカステで!
(でも、ミキちゃんバージョンはないです…ほんとマボロシー😢)

雪組『蒼穹の昴』我思予習必要壮大物語

宙組『HiGH&LOW/カプリチョーザ!!』

の余韻も冷めやらぬままに、行ってきました、雪組

グランド・ミュージカル

蒼穹の昴
浅田次郎作「蒼穹の昴」(講談社文庫)より~
脚本・演出/原田 諒

 

蒼穹の昴』とは

浅田次郎先生の壮大な小説が原作です。

 

前回の宙組ハイローは「予習しなくてもいいです」と書いたのですが…

はっきりいいましょう。雪組蒼穹の昴』は

予習しといたほうがいいです!!

 

私もこの公演が決まった時に、ブッ〇オフで文庫版5冊を見かけ、買おうか迷っていたのですが、もうなんなら1巻だけでも読めばよかったと後悔しています。

 

ちなみに…浅田次郎先生の原作が今までに宝塚で舞台化されたのは2作品。

 

『王妃の館』

 

壬生義士伝

↑これは舞台化されたBlu-ray/DVDですが、同名の小説も単行本・文庫版ともに出ています!

 

どちらもそんなに長くなく、なによりもともとパリ好き&幕末好きだし、浅田次郎先生の軽妙な文章ですぐ読めた。なんなら舞台化決定前から読んでいた。舞台化に当たって再読したっつーくらい。

シカシ『蒼穹の昴』は…そもそもテーマが、入りにくかった…。

あ、でもね、『三国志』とか『ラストエンペラー』とか、韓国ドラマ王朝ものとか好きな人は、きっとするする読めますよ!

 

なぜ予習したほうがよいのか?

それは…登場人物の名前(読み方)がわからない!! 入ってこない!! のです。

実在の有名人物である、

西太后(せいたいごう)とか

李鴻章(り こうしょう)とか

袁世凱(えん せいがい)とかは耳が受け入れるからよいのですけど。

 

でも、主役の梁文秀がリァン ウェンシウって読めますか? 

私は観劇後も「ふみひでさん、ぶんしゅうさん」と言ってしまいます。

 

中国物で、みんな衣装やメイクが似ているうえ(同じ立場の人は、ほぼ同じ衣装)、「あの人、誰だろう? 役名…聞き取れない!」ってなるので、「雪組なら研1までわかる!」という方以外は、役名だけでも知ってるとよいかもです!

(そもそも雪組大ファンの人は読んでますね、きっと)

 

さてそれでは、今でも読み方がわからない人が多数ですが、主要陣の感想です。

 

梁文秀:彩風 咲奈

リァン ウェンシウ(再確認)。

最初はのほほんとした次男坊で、弟分の春児と一緒に「いつかきっとすごいことをやるんだ!」という若さ、甘さがあるキラキラ✨ボーイなのですが、幾多の歴史的事件や、人の心の裏を知り、だんだんと変わっていきます。

もともとの優しさが薄れていくことも感じながら、それでも苦しみながらも優しさを残して、上り詰めていく男をよく演じていらしたと思います。

 

原作では春児が主役だそうなので、やはり、一歩抑えたような、いわゆる紳士的な役で、キラキラからギラギラへの変化はなく、咲ちゃんも演りづらかったかもしれません。

 

しかしながら、同じような衣装が並ぶ中での、一人だけ際立った抜群のスタイルの良さ、そして人柄の良さ、豪華なセットに負けないオーラで、この話題作を代表作にされたと思いました。

 

李玲玲:朝月 希和

リィ リンリン。鈴か(違)。李春児の妹で、文秀のことを慕っている娘。

この公演で退団なのに…この役は気の毒すぎる…。

なにせ、主役と結ばれないうえに、気持ちや人生がほとんど描かれないんですよね…。

 

もうどうせ主役と結ばれないなら、後述の西太后に挑戦してもよかったのでは?と個人的に思うくらい。

 

ひらめちゃん、相次ぐ組替えで紆余曲折あって、雪組トップ娘役になったのに、なんとなく、ニンに合わないお役が続いてお気の毒でした😢

 

花組時代の『はいからさんが通る』の吉次姐さんや、先日の『夢介千両みやげ』のお銀姐さんみたいな、サバサバッとしてるけど、実は心優しい姉御肌さんとか合ってたと思うんだけどなぁ。

 

第二の人生も、お幸せでありますよう。

 

李春児:朝美 絢

リィ チュンル。原作では主人公の春児、「糞拾いの少年」って書いてありました😢

(宝塚では「貧民の少年」。そりゃそうよね。あんな美しい人が糞拾ってたら、オジサン泣いちゃうよ。オジサンじゃないけど。しかもサラリと宦官か衝撃発言もあるし)

 

実は『蒼穹の昴』タイトルロールの昴なのでは、と思います。

野心だけを胸に、手段を択ばず翔け上がってゆく、瞳をキラキラさせた純粋な少年。

♪なんせこの顔、この器量♪(by夢介)なので、汚い身なりから、宮中の華のような美青年まで、すべて似合う!

 

堂々たる二番手ぶりで、ラスト近く、あっと驚くセットの中で一人駆けてくるあーさには、2階客席からも、ある種の良い予感を感じざるを得ませんでした。

 

代表作になると思うのですが、個人的には、いつかもっと「美」を武器に、したたかに、ずる賢く、そして破滅していくような役が観たいなあ。

 

順桂:和希 そら

シュンコイ、と読むそうです。

文秀さんの同期、熾烈な試験(科挙)をスイスイと通ってきた、腹に一物ありそうなド秀才。

(全くの個人的感想ですが、漫画『有閑倶楽部』の菊正宗清四郎を思い出しました)

 

宙組でも、稀有な存在感をきらめかせていたそらぴ雪組でも輝いていて、オジサンはうれしいよ(だからオジサンじゃないけど)。

 

歌もダンスも演技もうまい三拍子そろった方。

順桂は、なんの苦もなく演じていて、「そこに居る」という存在感でした。

 

それと、フィナーレ"歌唱指導"のキラキラ感✨もすごかったなぁ。

宙組をよく観ている者としては、「そらぴのキラキラを見てくださいっっ!!上手いでしょう!!」と自慢したいくらいでした。

 

光緒帝:縣 千

ラストエンペラー』(宝塚では『紫禁城の落日』)・愛新覚羅溥儀のひとつ前の若き皇帝。

西太后の傀儡政権で、さまざまな人の思惑に振り回され、翻弄され、責任を押しつけられるような生き様だったのでしょう。

(『エリザベート』の♪皇帝は自分のためにあらず♪というフランツと、皇太子でありながら革命を選んだルドルフ、両方を思い起こさせました)

 

あがちんは、それらの屈託も、不安も、すべて吹き飛ばすような、若さとエネルギー溢れる皇帝で、幕開き近く、大階段にしつらえられた登場シーンは息をのむほどでした。

 

ベテラン専科勢

今回、最多か?と思うほどの専科様たちの出演です。

舞台をピリッとしめてくださってます。

 

李鴻章凪七 瑠海…出てきただけで場を支配するような存在感は、さすが、真ん中も脇も経験したカチャ。貫禄です。

白太太: 京 三紗…よく考えると、この人の勝手な予言から物語が始まってしまう、罪作りな占い師。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の歩き巫女・大竹しのぶみたいなもんかと。物語の鍵を実は握っているんですね。

伊藤博文汝鳥 伶…お札から出てきたようなユーちゃんさん伊藤博文。ユーちゃんさんは、専科になってからも常に前進しているような方だと思うので、安心して見ていられます。幕開きの居酒屋のおやじっぽいのも、ユーちゃんさんですよね。

西太后一樹 千尋…間違いなく、『蒼穹の昴』に出てくる実在の人物の中ではもっとも有名で、世界三大悪女の一人ともいわれる西太后。でもヒロさんは、悪女なだけでなく、脆い面もあり、そして人間として息づいている西太后を演じてくれました。

楊喜楨:夏美 よう…2階から観ていて、オペラグラスで観る前に、声で「ハッチさんだ」とわかってしまいました(笑)。ほぼほぼ「これきっとワルイヒト」とすぐわかる感じ、いいですねぇー!

栄禄:悠真 倫…よい人役を演じることも多いまりんさんですが、ここはやはり「あの人もなんかある。ワルイヒト」とわかるお役。きっと、役作りに入るとそのような空気ができちゃうのでしょうね。

 

気になった人々

下級生まで全員はわからない雪組さんなのですが、一度の観劇で「これは!」と思った方々は…

 

安徳海:天月 翼…いや、もう、どこの専科さんかと! 盲目の胡弓弾きさんなのですが、悲しみ感がすごい! そして、キャトルにはおじいさんの四つ切スチールが。振り切ってて、役に没頭していて、尊敬です。

黒牡丹:眞ノ宮 るい…春児のお師匠さんとなり、壮絶な最期を遂げる黒牡丹。いや。めちゃくちゃかっこいい! これ、代表作のひとつになるんじゃないですか。

まのみやくんは、私は『ファントム』の従者で知ったのですが、憂いのある雰囲気、軽やかなダンスが大好きです。

王逸:一禾 あお…すんごいいい役です。常にトップ、三番手と一緒にいるし、目立たざるを得ません。一幕は「誰だ?てか役名なんだ?」ばっかり気になってしまった(汗)。

 

そして、華世 京(劉光第)くん、叶 ゆうり(醇親王)くんの美しさ、諏訪 さき(譚嗣同)くんの上手さも光っていました。

 

 

しかし…

宙組Never Say Good Bye』の楽から、『夢介千両みやげ』の初日(コロナのため延期)を観た時も「これが同じ劇場か!! が全然違う!!」と震撼したのですが、『ハイロー』から『蒼穹』の空気感の違いも相当でした。

同じ空間で、まったく違うものを次々に魅せてくれる宝塚…恐ろしい子!!(白目)

 

私は、今年は『蒼穹の昴』がナマ観劇ラストかもしれません。

今年のシメに重厚で壮大な舞台をありがとうございました!

 

DVD/Blu-rayでもぜひ復習を!

宙組『HiGH&LOW/カプリチョーザ!!』形あるものは永遠じゃない大千秋楽

先日、それぞれの感想も書いたのですが↓

宙組『HiGH&LOW』美とトンチキの融合 

宙組『カプリチョーザ!!』アディオ、伊達男 

いよいよ千秋楽…も終わってしまいました😢

とにもかくにも、大劇場も東宝完走できてよかった!!

(ここ半年間…帝劇ガイズも月組ムラも雪組心中も花組東宝も、私のチケットは、

全てうたかたの夢と消えていたので…涙。宙組ムラ、月組東宝から全部観られてよかった…。とはいえ、他の劇場・公演はまだまだ厳しい状況ですね…)

 

ちなみに今回は現場へ行けず、配信で観ておりました。

楽天さん、いつもありがとう。

宝塚歌劇LIVE(ライブ)配信 | 楽天TV

 

『ハイロー』アドリブ集!!

White Rascalsの仮面舞踏会前後

下手で「記念写真を撮ろう」という、紫藤りゅう若翔りつ亜音有星

楽は「みんなで撮りましょう(自撮りで客席も入れ)、ハイD・T・Y!!」

だったかと思います。

DTYってナニ?と思ったら、役名ダン・テッツ・ヤマト だったんですね。

このあと、ヤマト(しどりゅー)が「コブラの香りしねえ?」と匂いをかぐところは、『カプリチョーザ!』の振りかな。

 

ココのアドリブ、私が観ていて&聞いて印象に残ったのは

・写真でしどりゅーが完全に白目をむく(2.3回目撃)

・写真「キレイに撮れた、感動した!」→小泉元首相観劇

・匂い チューチュートレインのように上半身と腕を回す→HIROさん観劇

・写真「ハイ、ダンディー!」/匂い『ダンディズム』PARADISOの振り→真矢ミキさん観劇(これは妹が観たマチネ。ミキさんファンの私はソワレを観てしまった…)

・写真 片足を横に上げる、『West Side Story』の振り/匂い やはりWSSの振り→WSSだと思ったがジョージ・チャキリス観劇…なわけねえ! 愛月ひかるさん観劇かもしれません…。

 

苦邪組登場

幕開き、メイナンツー(泉堂成)がボスのリン(留依蒔世)にしなだれかかっているところ。

東宝ではここのメイナンツーのポーズが毎回変わり、ナルくん、ものすごいバズッてました。

楽は、うつぶせ膝枕&ジャケットに手を入れる…だったかと。

 

●その他の目撃

・うつぶせ膝枕、おしりにシャンパングラスを置かれる

・あおむけ膝枕

・バックハグ

・脚をリンの右太ももに乗せ、前屈して左太ももに顔を埋める

↑これを見た日にゃ、メイナンツーは中国雑技団出身かと思いました(笑)。

(雑技団からリンに拾われ、今に至る…。そしてきっと今後は、バイトでもぐりこんでいた、鬼邪高校を出て、ルードボーイズに入り、たまに達磨で太鼓を叩くのでは…。)

 

形あるものに永遠はない

形あるものに永遠はない」カナ、そしてコブラのセリフですが、

これ、お芝居はもちろん、演者にも、私たち観客にもいえることですよね。

「♪ONE DAY,ONE LIFE」一日の大切さは、みんな一緒。

何気なく過ごしてしまった一日や一回の公演が最後になるかもしれない

最初に書いた通り、公演中止が多くなっている今、

退団者がいらっしゃる今回もそうですし、私たち観客の何気ない日常も含めて、日々の生き方を考えなおそう、大切に生きよう…と思っている今日この頃です。

(とはいえ、もちろん一日中パジャマで汚部屋でゴロゴロしているときもあります…)

 

特にラスト、今回敵役となる留依蒔世さん・リンに、真風さん・コブラがいうセリフ、

もう二度とこの街に戻ってくんな!!

結構キツイなといつも思ってたけど、

…覚えてろよ!

が、あとで効いて参ります。

 

それにしても、

最初は「は?ハイロー? えーーー、やだなー、合わないなー」と思っていた公演とお別れするのがこんなに寂しいなんて…😢

配信で「わー、ここはこっち映してくれー!!」というのは結構あったけど、

無事にぶちあがって、てめえら、ぶっ殺されました。

 

どうしてこんなに暑いんだ

さて『カプリチョーザ』。

休憩時間に家で水分補給をしたのに、プロローグから、

♪どうしてこんなに暑いんだ♪ と発汗・ほてり・動悸がすごい。

(体調悪いんか、更年期障害か。いや、興奮がすごいから!)

 

さて、興奮のまま、狂乱の中詰め落着き、

下手側にきた、まか・キキ・ずん

いつも、ずんちゃんの変顔でまかキキ笑う…という感じでしたが、

楽は、三人でニコニコ笑顔…!

と思いきや、カメラはセリの上の娘役さんに!

おいっカメラスイッチング、男役映してよぅー!!

 

で、話題(?)の「キキちゃん冷たい視線」トリプルデュエダンですが…

それを映したかったのか、トップの真風を映したかったのか、

ガクガクブルブル、カメラが迷いだす。

おいっ、そこは決めとけや!!

もう、じゅっちゃん(天彩峰里)に

「人に迷惑かけるんじゃねえよ!とキメて欲しかった。

 

追記:ここで、若翔りっつくんとともに、情熱的に「Dio come ti amo」を歌っていた、宙組の若き歌姫・朝木陽彩ちゃんの退団が発表されました…。

もっともっと、これからだと思っていたのに…(悲)。

 

フィナーレ~ご挨拶

オペラのシーンからの「ザ・サヨナラショー」。涙涙涙。

「♪わがままばかりでごめんね でも幸せすぎたこの旅 今終わりを告げる アディオ♪」

がもう、グッときます…。

 

からの、本舞台に戻り、

薄紫のトレンチコートのシーンは涙涙😢

特に、本日で退団の、

留依蒔世さん、

希峰かなたさん、

琥南まことさん、

惟吹優羽さん、

花城さあやさん

が、お花をつけて、ゆりかさんを取り囲むところはグッときますね。

 

がっ、ここ、宙組大コーラスのあと、

ゆりかさんは、一人大階段へ。

スッとハットのふちをなぞって(男役熟練技!)、一人、昇天いや階段を上ってゆかれるのですが…

おいっ、カメラスイッチング!!

ハットを映さず、瑠風さんの

カプリチョーザーーー!!!!」

に切り替えるとは、どういうことだ!!!

ラスト熟練技だったのにぃーーー!!!

今日は千秋楽、「またはもうないよ」!!! うわぁーーん!!

ドアップで出てきたもえこちゃんに罪はないのだが、「いや”出ちゃった💛”じゃないから!」と思ってしまいました…。

 

ラストエトワール、あーちゃんを目に焼き付け、

もろもろあってご挨拶…。

私的には、ゆりかさんが、羽根つきのご挨拶は、今日が最後なんだなあと思うと、ホントまた「形あるものは永遠ではない」と思っちゃいます…。

 

2回目のご挨拶で、あーちゃんが

終わりは新たな始まりだ。覚えてろよ!!」と言ったのもよかったし、

ゆりか幼稚園もよかったです。

 

そして…

恒例の宙組三本締めのあと、

いつも、優しさ120%、失敗発言のほぼないゆりかさんが

カーテンコールで幕前に出てきたとき

「最後の最後までついてきてください」

とおっしゃったことで、また涙😢…。

 

そう、終わりは新たな始まり。

ハイロー・カプリチョーザの終わりは、

ゆりかさん退団公演の始まりです!!

どうか、悔いのない舞台を…!!

 

追記:楽付けで結花ののさんの退団も、楽の翌日発表されました。

たぶん、初舞台以来、ずっと休演していたかと…。

せっかくの宝塚入団以降、ほぼ舞台に立てなかったのが残念ですが、これからの人生が幸せなものになれますよう。

 

宙組さんは次は

・真風涼帆リサイタル
『MAKAZE IZM』

・芹香斗亜ディナーショー

『KISS -kiki sing&swing-』

・バウ・ドリーミング

夢現(ゆめうつつ)の先に』(鷹翔千空・主演)

の3つに分かれて別箱です。

また楽しみにしています!!

 

[rakuten:joshin-cddvd:10984979:detail]

まだ心はハイロー・カプリチョーザでDVD、ブルーレイを堪能しています。

 

 

宙組『カプリチョーザ!!』アディオ、伊達男

 

 

宙組『HiGH&LOW』に続きまして、ショー感想です。

 

 

ファッシーノ・モストラーレ
『Capricciosa(カプリチョーザ)!!』-心のままに-
(作・演出/藤井 大介)

 

……ふぁっしーの…もすとらーれ? 調べてみましたら、

Fascinoは、イタリア語で「魅惑」、

Mostrareは、イタリア語で「見せる」(展示など)

という意味だそう。

Capricciosa

“Capricciosa”とはイタリア語で“気まぐれ”“勝手気まま”といった意味を持つ言葉。
放浪の伊達男カプリチョーザが、イタリア各地を巡る中で遭遇する様々な出来事を綴った大人の雰囲気漂うショー作品。トップスター真風涼帆を中心に、宙組の個性溢れるスター達が繰り広げる、パワフルでセクシーな魅惑の世界をお楽しみください。 

(宝塚歌劇公式ホームページ)

とのことなので

「とにかく、気まぐれなイタリアーノ、伊達男マカゼチョーザを魅惑的に見せまっせ!」

(大意…の娘)てな感じなのでしょう!?

 

最初に言っておきます。

このショー、豪華な衣装やセットは、ほとんど出てきません。

(いや、宝塚初見の方は「わあっ!!」とは思うでしょう。コアなファンの方ね)

しかし、「伊達男とはこういうものなのだ!!」と

名前通り、魅惑されるショーなのです!!

 

プロローグ・復活祭 Pasqua

極彩色の美しい電飾幕が一旦消えると真っ暗に…

そしてライトがついた瞬間、サングラスをかけた男役と娘役が

ズラリと銀橋に並んでいます!

これ「チョンパ」と言いまして、日本物ショーではよくある風景。

チョンと拍子木が鳴った瞬間に、パッとライトがつくと、

そこはもう夢の世界…という感じです。

洋風チョンパで、しょっぱなからドキドキのあと、

いよいよ、カプリチョーザ・真風の登場です!

白スーツを脱いだり着たり、なんかもう既にこっちは興奮。

熱くなっております。

どうしてこんなに暑いんだ♪ って、こっちが聞きたいよ!

 

真風ゆりかさんの衣装は白ストライプキラスーツ、

芹香キキちゃんと潤花ちゃんは緑、

それ以外の人は赤で、イタリア国旗なんですけどね…

いや、もう少しキラキラしてもいいだろうってくらい。

 

でも、ナポリやらフィレンツェ、ミラノ、ベネチア、ローマと

地名の入った歌を歌い継ぎ、再度銀橋で

カプリチョーザカプリチョーザイェイ!♪

という頃には、あなたはこの歌を口ずさみたくなるでしょう。

 

そして!! いきなり勝手に興奮しますが

この後、男役だけになり、曲変わって「カプリチョーザ」なのですが!

これ、1993年の花組公演『ラ・ノーバ!』で(安寿ミラ・ヤンさんトップ時代)

真矢みきさんが歌っていたのですよ!!

わ、私、当時、みきちゃんの大ファンで、何度この歌で失神しそうになったことか!!!

それを今、真風さんが歌う!? 

そんなことってある? 天海さんもそんなことある?(ない)

(『ラ・ノーバ』併演は、再演を繰り返している名作『メランコリックジゴロ』。まさに神公演!! 最近は、よくスカステで再放送していますので、ぜひチェックを!!)

www.tca-pictures.net

 

で(戻って来た)、なんと今回はセリフまで言っちゃう。

桜木ずんちゃんズンズン今夜はあなたを攻めます」

キキちゃん「キキ迫るほどの情熱キス♥」

ゆりかさん「俺のゆりかごに君縛りつけ、イタリアの夜は眠らせない」

…愛称をもじった、ちょっとドSなセリフ…

アクアヴィーテ!!』にもあったけど、決してキライじゃないぜ…!

 

恋の街ナポリ

で、クラクラしている間に、次のシーン。

ここでは珍しく、潤花ちゃんとキキちゃんが組みます。

(ムラではここで「え…キキちゃんとなんだ…」という予感1)

「甘い言葉ささやくけど、イタリアの男に騙されちゃダメ」的な女たちと

なんとか女の気を引こうとする男たちのシーンですね。

いかにもイタリアっぽいシーンです。

 

水の都ヴェネツィア

イタリアといえばヴェネツィア

ヴェネツィアといえばヴェネツィアの紋章』、いや水の都。

幕開きは、瑠風もえこさんが歌う、マーラーの「アダージェット」。

名曲を良き声で歌っています。

ゴンドリエなので、もう少し低い声でもよかったかもですが、オッサンでは困るので、これでよき。

ゴンドラには、大介先生名物(?)女装のずんちゃん。

たゆたう水の中で踊る文化祭の衣装のような悪魔には秋音あきもちゃん。

そして誘われるようにやってきた、真風ゆりかさん。

 

曲は、おなじみの「エリーゼのために」になり…

まあ結局、ゆりかさんは、ずんちゃんに魅入られたってことなのでしょう。

美しい場面ではあるのですが…

振付や衣装がもう少し、官能的だとよかったかなと思いました。

 

花の都フィレンツェ

紫藤しどりゅーくんダ・ヴィンチ鷹翔こってぃくんラファエロ、今回で退団の留依あーちゃんミケランジェロと、イタリアンな天才たちと

娘たち(山吹ひばり、栞奈ひまり、愛未サラ)の銀橋から中詰めスタート。

あーちゃんは、これでもかとボロネーゼを響き渡らせています。

 

幕が開くと、ずんちゃんセンターで、花の衣装で総踊り。

体感がブレない、キザる男役がいると思ったら、

それは組長(寿つかさ)・副組長(松風輝)です。

ものすごい目力を見せているのは若翔りっつくんです。

このあたりからずっと、有名曲「24,000回のキッス」がアレンジされています♪

 

もえこちゃん銀橋のあと、本舞台にはキキちゃんが。

そして、若手男役たちのエイトシャルマン!

(パンフレットでは違う名前でしたが、8人、若手男役、ダルマ衣装といえばエイトシャルマンのほうが通じやすいかと)

 

もう次々にキキちゃんに絡むシャルマンよ。

亜音有星の超絶すぎるスタイルよ。

泉堂成のエロすぎるダンスよ。

波輝瑛斗のちなちゃん(鳳月杏)似すぎよ。

奈央麗斗のすでに完成された美しさよ。

(もちろんほかのシャルマンも)

 

マスクの中で口あけて見てたら、もうゆりかさんスタンバイ。

まかキキずん、不動のトリオ3人が銀橋を渡って、

男くささ120%、狂乱の中詰めに突入!

一段落して下手側へ。

ここ、いつもずんちゃんが、まかキキを笑わせますので、お見逃しなく。

(私は一度、桜木ホンキの変顔を目撃しましたが、注意が出たのか、それ以来はソフトに…)

 

そして、ちょっと話題になっているらしい、トリプルデュエダン…。

(まか・キキ・ずん×潤花・天彩峰里水音志保)

キキちゃんが、天彩じゅっちゃんに冷たい視線という説をネットで見かけます。

まあ確かに、ニコニコベタベタカップルではない。

でも、それを本人たちの不仲とかいうのはどうかなあ?

 

ジェンヌさんって、プロフェッショナルに徹しています。

群舞でほんの1シーン組む下級生でも

「これ、昔別れたワケアリ夫婦って設定にしよう」とか

ひそかに考えていらっしゃる等、よく聞きます。

 

キキちゃんが、じゅっちゃんにだけ冷たい視線なのは、

絶対に、そういう演出的なワケがあると思うけどな。

少なくとも、今までキキちゃんの舞台を見ていて、

舞台上に私的感情を持ち込んでいるとは、決して思えないですね。

キキちゃんだけでなく、皆さんね。

 

芸術の都ミラノ

圧の強い中詰めが終わると、早くもロケット。

なんとロケットセンターは、ダンサーのほまれ高い優希しおん・キヨちゃんです。

イタリアンフェッテ、フェッテ…ちょっとレベチのロケットです。

 

ロケットへの大拍手が終わると、そこはミラノ・オペラ座(たぶん)。

オペラ歌手のずんちゃん、春乃さくらちゃんが歌うのは「カタリ・カタリ」。

これ、宝塚で時々使われますが、私があまりに印象深いのは、

麻実れい・ターコさんのサヨナラ公演『はばたけ黄金の翼よ』フィナーレ。

ホント、最後の男役集大成という黒燕尾で、「ザ・退団」のイメージが…。

まったく同じ歌詞なので、ターコさんを思い出し、うるうるしつつ、予感2

 

ここ、ずんちゃんたちはオペラの出演者で、

観客に、キキちゃんと潤花ちゃんがいます。(ときどき手にキスをしたり)

「カタリ・カタリ」が終わると、銀橋でゆりかさん歌。

本舞台に戻ると、ゆりかさん・潤花ちゃん・キキちゃんとの三角関係に。

 

オペラ…トップ娘役を巡ってまかキキの対立…

まかまどトップ披露作品『シトラスの風』を思い出してしまいます。

その時は、キキちゃんが恋に破れたけれど、今回は…

ゆりかさんは、すがる潤花ちゃんの背をそっと押し、キキちゃんに託し…。

そして、一人ぼっちで舞台に残ると、

薄紫のトレンチコートとハットを持ったまっぷーさん(松風輝)…。

そして

「♪今 旅立ちの日 近づいてきた」

…いや、これもうどう考えても予感3・4・5でしょ!!

 

さらにダメ押しのように、涙涙の歌詞。

銀橋を渡り、幕が上がると、すっしーさん(寿つかさ)が

「♪アリベデルチ・ローマ…」(アリベデルチ→イタリア語で"さようなら")

 

さらに、なぜか、秋奈るいさん、澄風なぎさん、あきもちゃん、キヨちゃんの4人だけが踊っている…

ちょっと待てーぃ!!

ゆりかさんは、ショー始まる前も始まった後も予感はあったが、

すっしーさんとこの4人!! え!?

 

もうそこからは、「ザ・サヨナラショーすか?」と思わせる展開。

この公演での退団者にも、もちろんスポットがあたります。

 

フィナーレ

イタリアンなのに、なぜか、中森明菜の「ミ・アモーレ」を使ったフィナーレ。

キキちゃん大階段→男役群舞→デュエダンとめくるめく展開です。

 

年代的に、おそらくキキちゃんと同じくらいの回数、

「ミ・アモーレ」をカラオケで歌った私ですが(?)

曲調が変わって切なくなる箇所もあり、改めていい歌だなあ…と。

カーニバルは、終わってしまうのだな…という寂寥感が感じられました…。

 

エトワールあーちゃんのあと、フィナーレ降りは割愛しますが…

プロローグと同じく、赤・緑・白のイタリア国旗を表しつつ、

陽気に踊りながらの幕です。

 

ムラでは、さまざまな野口予感が駆け巡り、

「私のカーニバルも終わるんだろうな…

アディオ、伊達男(訳:さよなら、真風さん)」(´;ω;`)と切ない気持ちでしたが

大劇場公演後、真風涼帆さん・潤花さんの退団も発表され、

東京公演は心して観ることができました。

 

宙組次回作は、一本物の『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』。

ショー部分はフィナーレだけなので…

大介先生は、今回、サヨナラショーっぽく作ってくれたのかな、と思います。

 

たぶん、ゆりかさん、潤花ちゃんとともに退団する人、

組替えなどの人もきっといるでしょう。

 

話題作『HiGH&LOW』と併演だったり、長引くコロナ禍だったり、

他組で話題作もあったりと、予算的にはもしかして厳しかったかも…

でも「今の宙組」の集大成であったことは間違いありません。

大介先生の愛、宙組の皆さんの熱気が伝わる公演でした!

 

宝塚GRAPH(グラフ) 2022年 12 月号 [雑誌]

宝塚GRAPH(グラフ) 2022年 12 月号 [雑誌]

  • 宝塚クリエイティブアーツ
Amazon

宝塚グラフ表紙の真風さんも神降臨的!!

 

 

 

 

 

 

宙組『HiGH&LOW』美とトンチキの融合

宙組東京宝塚劇場公演

『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』(原作・著作・構想/HI-AX 脚本・演出/野口 幸作)

の公演感想を独断と偏見を交えて書きます。

 




『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』とは

 

皆様、もうご存じだとは思いますが…
LDHによるドラマ・映画作品『HiGH&LOW』シリーズを、宝塚の演出家・野口先生が大胆に脚本演出でアレンジ。さすが、さまざまな野口先生です。
私は、宝塚に原作があるときは、書籍や映画の場合、事前に予習をしてから観劇することが多いのですが…
これだけ前評判があったハイローは、下記YouTubeしか見ていませんでした。

 


www.youtube.com

 

でも、これを見なくても、LDHハイローを見なくても、宝塚は宝塚で完結しています。
もう東京公演も残り少ないですが、原作は予習しなくても大丈夫!

(予習しておけば、世界観はもっとわかるでしょう)

 

まあ、宝塚用語でいえば、愛すべき「トンチキ」です(笑)。

なにせ、フランス革命やら宮廷やらパリやら、万葉やら、平安時代やら、

そういったきらびやかなものに慣れているヅカファンとしては、

「ほぼ暴走族!? 拳で喧嘩!?   てめえら!?」と

オロオロすること間違いなしです。

 

しかし! そこはさすがの野口先生。

設定は足立区だか横浜・川崎だかわからないSWORD地区ですが、

やっぱり舞台には「」があふれているんです。

ほのかな恋心。

男同士の絆。

生と死。大切にしたいもの。

金髪もカラーリングも、革ジャンも何もかも似合ってしまう人々。

宝塚に求める「美」も「夢」も、トンチキの中にあります。

ハイロー初心者も安心してください。

 

 

真風涼帆:コブラ 

 

先日、退団発表があったゆりかさん。 最近はあまりムラ遠征もしていないのですが、予感があったため、これは大劇場にも行きました。 

最初は、上述の通りハイローの世界観も知らなかったので、戸惑いました。 

ゆりかさんといえば、フランツ・ヨーゼフ、ルイ14世、カイル皇子など皇族出身(笑)。 

 


それが、山王連合会総長とはいえ、「二代目喧嘩屋」として「てめえらブッ殺されてえのか」など、ヤンキー言葉をお使いになる。 歌もラップ調。

正直、最初はヤンキー言葉と歌が似合っているとは思えませんでした。 

でも…真っすぐ。一生懸命。仲間と彼女を守る、頼りになる男。 

いつのまにか、コブラの真風涼帆のとりこです。

 今までの持ち味・「大人」でも「セクシー」でも「エレガント」でもないけど、

退団間際にして、真っすぐで純真なコブラになりきるゆりかさんに、もっともっと好感が持てます。

 

潤花:カナ

 

宝塚オリジナルキャラであるカナ。

私は、正直いうと、前相手役・星風まどかちゃんとのコンビが好きだったこともあり、
前作まで潤花ちゃんの役って
「ニンに合っていないのでは」とも思っていました。

 

しかし、今回のカナ…いいです!
天真爛漫だけど、実は重いものを背負っているとか
イマドキ風に、コブラを「キミ」と呼ぶとか
なにより、カワイイ!
すでに話題になっていますが、ラストのびっくり登場も合ってます。
そして歌も、朗々と歌い上げる作品でないためか、

今までのトップ娘役作品で一番よいかも。

ゆりかさんと同時退団とのこと、本当にカナでよかったなと思います。

 

芹香斗亜:ROCKY

 

誘惑の白き悪魔・White RascalsのリーダーROCKY。 

白スーツにゼブラ柄シャツ、ピンクのサングラス、ステッキに赤手袋に手錠。 

かなりイカレタ野郎…いや、紳士です。

 自分の複雑な生い立ちから、女性を守ると決めている信念の人。

 


 こういうちょっとイカレたサイコパスは、キキちゃん、本当にうまい!! 

『アナスタシア』『シャーロック・ホームズ』でも、 信念が行きすぎちゃってる人をうまく演じていました。

 ときどき「平等とは…多様な…立場が」と、全然心に入ってこない名セリフをぶち上げます。

(ほめてます。「ちょっと何言ってるかわかんない」のが、ROCKYさんの雰囲気なのだと思う)

 トップになったら、サイコパス役は回ってこないと思いますが、 

縦横無尽にやれる演技と、コミカルな才能は、きっと今後も武器になると信じています。

 

桜木みなと:スモーキー

 

無名街を仕切るRUDE BOYSのリーダー。 

プロローグ以降、だいぶん出てこないのですが、 ずんちゃんお得意の(?)こじらせボーイを、うまく演じています。 

いわゆる「厨弐病」的な男子が好きな人には、ハマるのではないでしょうか。 

 


ずんちゃんも今まで、こじらせボーイが多かったですが、

 きっとこれからは、『アナスタシア』『シャーロック・ホームズ』で見せたような、トップを支える役が多くなると思います。 

 


スモーキー自身が病気を患い、何かを抱えてるせいなのか、 

「誰よりも高く飛ぶ」のはルードのタケシ(秋音 光)とピー(優希しおん)にお任せしています(笑)。

この二人、乱闘のときにアクロバティックなダンスもしているので、お見逃しなく!

 

日向紀久:瑠風 輝 村山良樹:鷹翔千空

 

達磨一家のリーダー・日向と、鬼邪高校番長・村山。 

どちらも、ポスターにも抜擢。 

身体能力を生かしつつ、リーダーとして君臨し、存在感を出しています。 

特にもえこ瑠風さんは、今までそのスタイルからも目立っている存在ではありましたが、 

やはり、トップ・二番手・三番手と拮抗する役でもあるので、ボス感が前より出てきてます。

 

苦邪組の人々

 

宝塚オリジナルの敵対チーム・苦邪組(クジャク) 。

リーダーのリン(留依蒔世さん)はじめ、ツワモノぞろいです。 

松風 輝さん・インテリヤクザ風でコワイ 

小春乃さよさん・昔の詩乃優花さんのようで、かわいくてコワイ 

澄風なぎさん・あるある感満載ヤンキー 

真白悠希さん・未成年役だが美青年役かと思うほどかっこよし

 

そして、今、バズりにバズっている、 メイナンツー役・泉堂 成さん!

 ツンデレのメイド(御小姓と呼んでいます…)ですが、 登場シーンは、オペラグラスポイントになっているほど。 

達磨一家鬼邪高校RUDE BOYSにも、バイト(その他大勢)で、得意のダンスをしているので、ぜひチェックを。

 

その他の人々&細かいネタ

 

山王連合会傘下の暴走族レディース、苺美瑠狂(イチゴミルク)。

宝塚の娘役といえば、輪っかのドレス、お姫様…と思っている方は多いと思いますが、

宝塚史上初、ピンクの特攻服でドスのきいたセリフの娘役です。

純子:天彩峰里ちゃんをはじめ、一途なところがかわいたくましい!

皆さんチャレンジ精神ですごく頑張ってます。

 

その他、各チームの側近たち…

山王連合会 ヤマト:紫藤りゅう

      ダン:若翔りつ

      テッツ:亜音有星

しどりゅーは、ゆりかさんと同じく、そこはかとなく漂うロイヤル感がステキ。

歌うま目力強いりっつと、オーラのすごいあのんくんもめちゃ目立ってます。

 

White Rascals KOO:風色日向

とてもきれいなお顔立ちなのですが、「私を見て」感が少ない気がします。今回の役にはよいかもです。

 

RUDE BOYS…上記のあきもキヨがMyおすすめです!

 

細かいネタ…

山王連合会の溜まり場・床屋ピューマ

上手側の本棚に並んでいるコミックス…

花より男子

ポーの一族

るろうに剣心

『BLACK JACK』

『JIN』

シティハンター

ベルサイユのばら

…そう、宝塚で上演された漫画ばかりなのです!

でも、『鉄腕アトム』のかわりに

天は赤い河のほとり』を入れてほしかった…と思うのは、私だけでしょうか!?

 

ちまみにここには「スミレ女性」という女性週刊誌も置いてあります。

中身も読んでみたい!

 

[rakuten:joshin-cddvd:10984980:detail]

 

いかがでしたでしょうか。

(各チーム名はチームカラーにしてみましたが、ごめんよWhite Rascals)

そろそろ、東京公演も大詰め。

大劇場公演時収録のDVD・ブルーレイも発売されましたので、

ぜひチェックしてみてください!